青年期における対人感情と他者概念との関連

 

本研究の目的は、肯定的および否定的な対人感情が、対人認知におよぼす影響を明らかにすることである。被験者は150名の大学生であった(男性48名、女性102名)。被験者は現実の自己、理想自己、好きな他者、苦手な他者について、20の形容詞対からなるSD法(7件法)に回答した。結果は以下のとおりである。(1)苦手な他者の概念は、苦手な他者の実際の自己概念と比べて、被験者自身の現実自己との相違が大きいと知覚されていた。(2)好きな他者の概念は、好きな他者の実際の自己概念と比べて、被験者自身の現実自己に似ていると知覚されていた。(3)好きな他者の概念は、被験者自身の現実自己よりも、理想自己に似ていると知覚されていた。